生けるガラス-中川幸夫の花器

会  期 2020年9月5日(土)~12月13日(日)
開館時間 9:00~17:00
※12月から9:00~16:30
※入館は閉館の30分前まで
休 館 日 9月15日(火)、10月20日(火)、11月17日(火)
観 覧 料 一般 800(700)円、中学生以下無料
※高校生以上は一般料金
※()内は20名以上の団体料金および前売り料金
※前売券は、ローソン・ミニストップ、ファミリーマート、セブン-イレブンで取り扱い
 (JTB商品番号 0225997)
主  催 石川県能登島ガラス美術館(公益財団法人七尾美術財団)
協  力 あーらんどギャラリー、浦上蒼穹堂、富山県美術館、日本女性新聞社
有限会社フォトス、や和らぎ たかす ※50音順
後  援 七尾市教育委員会

 

香川県丸亀市生まれの中川幸夫(1918-2012)は既存の華道流派に属することなく、独自の花の表現を追求した孤高のいけばな作家です。3歳の時に事故による怪我が元となって脊椎カリエスを患った中川は、大阪の印刷会社で働くも、23歳の時に病気のために丸亀に帰郷し、池坊に所属していた伯母の元でいけばなを学びました。その後、作庭家の重森三玲が主宰する前衛いけばな研究グループ「白東社」に参加し、流派を超えた前衛いけばなの世界で活動します。38歳で東京に活動の場を移しますが、流派に属さないために弟子を取ることもできなかった中川は、極貧生活の中で自身のいけばなを貫きました。

花が生きて死ぬまでの姿を見つめ、朽ちていく過程をサディスティックとも言える手法で捉えた作品群は、中川の代表作として知られています。命そのもののありようを花で表現した中川の作品や制作態度は、ジャンルを超えて今なお多くの作家たちに影響を与えています。本展は、中川が自身のいけばなのために制作したガラス器を中心にその表現の世界を紹介するものです。

坩堝の中で溶解したガラスに感じた生命を花に重ね合わせ、ガラスを単なる花器としてではなく、花と等価の素材としていけばなの中で表現した中川のガラスには、血肉を持っているかのような生々しさ、生命感があります。中川幸夫の「花を生ける」ガラス、「生きた」ガラスをとおして、徹底して自由であり続けたその「命」の表現をご覧ください。

展覧会記録
展覧会チラシ PDFデータ

 

作品紹介

ぼくの昆虫記/1990年/個人蔵  撮影:高橋章

 

花坊主/1973年/カーネーション900本、自作ガラス
撮影:牧直視
西方へ/1994年/百合、桔梗、サルビア、ユウカリ、鶏頭、金箔、自作ガラス
撮影:中川幸夫

 

花神に/1975年頃/個人蔵
撮影:高橋章
胎/1975年/貝、自作ガラス
撮影:新居義久