「ハーバリウム」とは、植物の資料標本を収納し、それによって多様な植物の種について研究する施設のこと。植物標本という意味もあり、最近では、インテリアとしてのハーバリウムという言葉が定着しつつあります。
当館でも、展覧会「ガラスの植物園」の関連プログラムとして、身近にある草花を特殊なオイルに浸してハーバリウムを作るワークショップを開催しました。今回は美術館周辺で見る山野草を集め、ガラス瓶に詰める花材を作るところからご紹介します。
準備するもの
・身近な草花
・ドライフラワー用シリカゲル
・密閉できる容器
・蓋付ガラス瓶
・ハーバリウム用オイル(ミネラルオイル、流動パラフィンなど)
・柄の長いピンセット
・ウェットテッシュ
・キッチンペーパー
その他
・ラベル
作り方
1. 草花を採取したら、空き瓶やタッパーなど密閉できる容器を用意し、草花が埋まるまで、また、形が崩れないようにシリカゲルを少しずつ入れてください。
2. 一週間ほどしたら容器から草花を取り出して、しっかり乾燥できているか確認してみましょう。盆花(ミソハギ)、ネコジャラシ(エノコログサ)、マリーゴールド、ネジバナ、アジサイ、ムラサキカタバミ、イバラノ実など、美術館周辺で見る山野草を採取しました。
※乾燥するとパリッとなり、葉や花弁が取れやすくなっているため、優しく扱ってください。
3. カビ防止のため、ガラス瓶は煮沸消毒した後、しっかり乾燥させてから使いましょう。今回は、作る直前にウェットティシュで内側を拭いた後、キッチンペーパーで水分をとってから使用しました。
※瓶選びのポイントは、肩があるもの。また、経口が小さすぎると花材が入らなくなるのでなるべく大きいものを選ぶとよい。
4. 中に詰める花材を選びます。瓶を横に置いて、どのような配置にするかを考えながら決めていきましょう。
5. 柄の長いピンセットを使って、瓶の中に花材を詰めていきます。花とグリーンを交互に入れること。また、瓶の中に少し空間を残すときれいに仕上がります。オイルを入れると中の花材が少し浮くので、茎の長い花などは、瓶の中で斜めにたてかけるように入れるのがポイントです。
6. 草花の形がくずれないよう、専用のオイルをゆっくり注ぎます。
7. 瓶の肩くらいまでオイルを入れ、草花の隙間から出る気泡が落ち着いてきたら蓋を閉めます。中に詰めた花材の種類、採取した日付などを記録したラベルを貼れば、植物標本の完成です。
あとがき
花材は手作りなため、1年ほどすると色が落ちてきます。
ハーバリウム用オイルは「指定可燃物」であることが多く、天ぷら油と同じような方法で廃棄できるかと思いますが、事前にご確認ください。
日本で最も古い植物標本室は、1877(明治10)年に東京大学の創立と同時に設立された東京大学植物標本室(Herbarium of the University of Tokyo: TI)。設立以来、継続的に収集された標本は、現在およそ170万点もあるそう。
一番最初に収蔵した植物は何だったんだろう?